
アルモットくんの!「5秒」で分かるコラムの要約
特養・福祉施設の預り金管理は「本人管理が原則、施設保管は例外」!施設が預かるなら責任者と補助者を分ける・通帳と印鑑を別々に保管する・出納台帳を備えるの3点が要件だよ。全国調査では、半数以上の施設が入所者の手持ち現金を、6割超が預金通帳等を実際に預かっているんだ。監査で問われるのは「誰が・いつ扱ったか」を説明できるか。そこが分かれ目だよ!
「鍵は事務長しか持っていない」「誰がいつ金庫を開けたか、正確には分からない」。特養や福祉施設の事務室で、こうした状態に心当たりはないでしょうか。
利用者本人に代わって現金・通帳・印鑑を預かる業務は、多くの施設で日常的に発生しています。しかし預り金管理の運用は担当者の経験に依存しやすく、異動や退職のタイミングで一気に不安定になります。引き継ぎ資料に運用ルールが書かれていなければ、「なぜこの管理方法なのか」を誰も説明できなくなります。
今回は、施設が預り金を扱う際に求められる要件を根拠とともに整理し、通帳と印鑑を分けて保管するという基本を、どうすれば仕組みとして定着させられるかを考えます。
- 預り金管理は「担当者の頭の中」で回っていないか
- 前提:本人管理が原則、施設保管は例外
- 預り金管理に求められる3つの要件
- 保管方法で「説明しやすさ」はどう変わるか
- 保管庫選定の5つのチェックポイント
- 分離・記録・省スペースを同時に満たす引出し型保管庫
- まとめ
預り金管理は「担当者の頭の中」で回っていないか
特養や福祉施設では、利用者本人に代わって現金、通帳、印鑑を一時的に預かる場面があります。日々の買い物代の立て替え、施設利用料の支払い、家族からの預り品。扱う金品は多岐にわたります。
この業務がどれだけ広く行われているかは、数字でも確認できます。全国老人福祉施設協議会が実施した第10回全国老人ホーム基礎調査(令和4年4月1日現在、令和3年度実績)によると、入所者の手持ち現金の管理について「有料サービスとして実施」が19.6%、「無料で実施」が27.7%、「実施していない」が49.8%でした。つまり約半数の施設が、実際に入所者の現金を預かっています。預金通帳や証書等の管理については、実施していない施設が37.2%とされており、こちらは6割を超える施設が預かっている計算になります。
ここで注意したいのは、「実施していない」ことが問題なのではない、という点です。次章で述べるとおり、そもそも施設が預からないという選択は原則に沿ったものです。問われるのは、預かっている施設の運用がどうなっているかのほうです。
そして預り金業務は、担当者の異動や退職で不安定になります。運用ルールが明文化されていなければ、後任は前任のやり方を踏襲するしかなく、なぜその方法なのかを説明できません。監査で問われたときに答えられない、という事態はここから生まれます。
前提:本人管理が原則、施設保管は例外
具体的な管理方法の話に入る前に、押さえておきたい大前提があります。
入居者・利用者の金銭や預金等は、本人が管理するのが原則です。施設が管理するのは、本人からの依頼がある場合や、心身の状況により自ら管理することが困難な場合に限られます。
自治体が施設に向けて出している通知でも、この考え方は繰り返し示されています。たとえば東京都が高齢者福祉施設に宛てた預り金管理に関する通知では、心身の状況により自ら管理することが困難な方もいるため施設が金銭を管理する場合があるとしたうえで、まずは施設の立替払い等、預り金を管理しない方法を検討するよう促しています。
「預からない」という選択肢を先に検討する
預り金管理は、預かった瞬間から責任と手間が発生する業務です。立替払いで対応できる範囲であれば、そのほうがリスクは小さい。成年後見制度や社会福祉協議会の日常生活自立支援事業といった外部の仕組みが使えるケースもあります。管理体制を整えることと、そもそも管理範囲を絞ることは、どちらも有効な対策です。
施設が預かること自体が例外的な対応である。この前提に立つと、次に述べる要件が「厳しすぎる」ものではなく、むしろ最低限であることが理解しやすくなります。
預り金管理に求められる3つの要件
施設が預り金の出納管理を行い、その費用を入所者等から徴収する場合の要件は、厚生省(当時)が平成12年3月30日に発出した老企第54号「通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて」に示されています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 体制の分離 | 責任者および補助者が選定され、印鑑と通帳が別々に保管されていること |
| ② 複数確認 | 適切な管理が行われていることの確認が、複数の者により常に行える体制で出納事務が行われること |
| ③ 書類の整備 | 入所者等との保管依頼書(契約書)、個人別出納台帳等、必要な書類を備えていること |
この3点は、自治体が実施する指導監査の確認項目にも反映されています。横浜市が市内施設向けに示している預り金事務のポイントでは、責任者および補助者が選定され通帳と印鑑が別々に保管されているか、通帳等と預り金台帳の金額が一致するか、といった項目が具体的に挙げられています。
3つの要件に共通する狙いは明確です。誰か1人が不正をしようとしても、別の記録や別の人の確認によって気づける状態を作ること。逆に言えば、鍵を1人が管理し、出入りの記録が残らない状態は、本人にまったく不正の意図がなくても、外部から見て「説明しにくい管理体制」と判断されやすくなります。
現金だけでなく、書類の保管もセットで考える
預り金に関する保管依頼書、出納台帳、領収書、そして通帳・印鑑・保険証。これらはいずれも個人情報を含みます。個人情報保護の観点からも、漏えい・滅失・毀損を防ぐ管理が必要です。「現金をどこにしまうか」だけを考えて、書類が引き出しに入ったまま、という状態は見落としが起きやすいポイントです。
保管方法で「説明しやすさ」はどう変わるか
同じ「鍵をかけて保管する」という行為でも、方法によって、監査時に説明できる管理体制になるかどうかは大きく変わります。
| 保管方法 | 分離保管のしやすさ | 記録の残しやすさ | 属人化のリスク |
|---|---|---|---|
| 手提げ金庫 | 低い(1つにまとめがち) | 記録が残らない | 高い(鍵の持ち主に依存) |
| 施錠キャビネット | 中程度(引出し単位で分けられる) | 記録が残らない | 中程度 |
| 二重ロック+操作履歴付き保管庫 | 高い(用途別に区分しやすい) | 誰が・いつを記録できる | 低い(記録による相互確認) |
手提げ金庫や一般的な施錠キャビネットは、導入コストを抑えやすい一方で、「誰が開けたか」を客観的に示す手段がありません。何かトラブルが起きたとき、頼れるのは担当者の証言だけになります。
これは、疑われる側にとっても不利な状態です。記録がなければ、本当に何もしていない職員であっても、自分の潔白を示す材料を持てません。記録を残す仕組みは、職員を監視するためではなく、職員を守るために機能します。
暗証番号と物理鍵を組み合わせた二重ロック方式で、かつ解錠履歴が記録される保管庫であれば、「誰が・いつ扱ったか」が客観的なデータとして残ります。前章の①体制の分離、②複数確認という要件に、そのまま対応する仕組みです。
保管庫選定の5つのチェックポイント
導入を検討する際は、次の5点を確認しておくと、後から「想定と違った」という事態を避けられます。
- ① 施錠方式
暗証番号を入力するテンキーと物理鍵を組み合わせた二重ロックかを確認します。片方だけの場合、鍵や暗証番号の管理が属人化しやすくなります。 - ② 操作履歴の有無
誰が・いつ解錠したかを記録・出力できるかを確認します。監査時の説明資料として使えるかどうかが分かれ目です。 - ③ 設置スペース
事務室の限られた面積に収まるかを確認します。カウンター下や机の下など、既存レイアウトを崩さずに置けるかも重要です。 - ④ 固定の可否
持ち出しや盗難のリスクを避けたい場合、床面への固定が可能かを確認します。 - ⑤ 耐火性の要否
通帳原本や重要な証書など、火災時の焼失リスクを避けたい書類がある場合は、耐火性能の有無を必ず確認します。
防犯性と耐火性は、別の性能です
⑤は特に見落とされがちです。施錠や記録といった防犯・内部統制の機能と、火災対策の機能はまったく別のものです。防犯性に優れた保管庫が、必ずしも耐火性を備えているわけではありません。日常的な出納管理とアクセス制御を重視するのか、原本の焼失リスク対策を重視するのか。用途を分けて考えることで、コストと目的のバランスが取りやすくなります。
分離・記録・省スペースを同時に満たす引出し型保管庫
グローリーの引出し型保管庫MC-4ERは、もともと店舗の釣り銭準備金保管を想定して設計された製品です。しかし備えている仕組みは、特養・福祉施設の預り金管理で求められる要件とそのまま重なります。
- 9mmの鋼板構造+二重ロック:暗証番号を入力するテンキーと、物理鍵であるシリンダーを併用します。暗証番号は5種類まで登録できるため、管理責任者と補助者で番号を分けて運用できます
- 操作履歴システム:誰が、いつ(年月日時分まで)解錠したかを、ロックシステム内に約1,000件まで自動で記憶します。パソコンに接続すれば履歴データの閲覧・保存・印刷が可能です
- 省スペース設計:外寸はW400×D538×H276mm。事務室の限られたスペースやカウンター下にも設置しやすいサイズです
- 優れた操作性:引出しを奥まで完全に引き出せるため、収納物全体を一目で見渡せます
「誰が・いつ」を記録する。説明できる預り金管理へ
- 引出し型保管庫 MC-4ER(EZA86744)
- テンキーとシリンダーを併用する二重ロック方式の引出し型保管庫。暗証番号は5種類まで登録でき、解錠履歴を約1,000件まで自動記録します。外寸W400×D538×H276mm、質量75kg。本体鍵2本と単3アルカリ乾電池4本が付属します。なお本製品は非耐火です。日常的な出納管理・アクセス制御・記録の担保に強みがある一方、通帳原本や重要証書の焼失リスク対策が必要な場合は、耐火金庫との併用や保管場所の分担をご検討ください。
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持ち出しを防ぐなら、床面固定という選択
- MC-4ER専用ベースボード(EZA86745)
- MC-4ERを床面に固定するための専用オプション。保管庫ごと持ち出されるリスクや、不正な移動を防ぎたい場合に有効です。設置には床面へのコンクリートアンカー打設工事等が別途必要になるため、導入前に設置環境の確認をおすすめします。
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まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 大前提 | 本人管理が原則、施設保管は例外。まず預からない方法を検討する |
| 3つの要件 | 責任者と補助者の選定および印鑑と通帳の別々保管/複数者による確認体制/保管依頼書・個人別出納台帳等の整備(老企第54号) |
| 実施状況 | 入所者の手持ち現金を管理していない施設は49.8%。裏を返せば約半数が預かっている(第10回全国老人ホーム基礎調査) |
| 分かれ目 | 監査で問われるのは「誰が・いつ扱ったか」を客観的に示せるかどうか |
| 保管庫の選定 | 施錠方式/操作履歴/設置スペース/固定の可否/耐火性の5点。防犯性と耐火性は別の性能 |
預り金管理の体制づくりは、職員を疑うための仕組みではありません。記録が残っていれば、何も起きていないことを証明できます。それは現場で日々金品を扱う職員を守ることでもあります。
まずは自施設の預り金と重要書類の管理体制を棚卸しし、「誰が・いつ」を説明できる状態になっているかを確認してみてください。通帳と印鑑が同じ引き出しに入っていないか。それを確かめるところからで十分です。
※本記事で引用した調査は特別養護老人ホームを対象としたものです。施設種別や運用状況により、求められる管理体制は異なる場合があります。導入検討の際は、自施設が根拠とする指導監査基準・運営指針をあわせてご確認ください。
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