両替に手数料がかかるようになったのはなぜ?硬貨1枚を数えるコストの話

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銀行の両替機の前で大量の小銭を手にしている人のイメージ

アルモットくんの!「5秒」で分かるコラムの要約

アルモットくん

両替に手数料がかかるようになったのは、硬貨を扱うコストが「金額のわりに高すぎる」から!1円玉を1枚数えるのも1万円札を1枚数えるのも手間は同じなのに、動く金額は1万倍違うんだ。低金利で銀行の利鞘が減ったことも重なって、コストを利用者が負担する形に変わったよ。「両替手数料」と「硬貨入金手数料」は別物なのもポイント!

貯金箱にたまった小銭を銀行に持っていったら、手数料を引かれた。店の釣銭を用意しに行ったら、以前は無料だった両替に料金がかかるようになっていた。

いつの間にか、両替に手数料がかかるのが当たり前になりました。「銀行が儲けたいだけでは」と感じる方もいるかもしれません。けれども、この変化の背景には、硬貨という通貨が抱える構造的な事情があります。

通貨処理機を作っているメーカーの立場から、硬貨1枚を扱うのに何がかかっているのか、そして事業者として何ができるのかを整理します。

いつから両替手数料がかかるようになったのか

銀行の窓口カウンターのイメージ

転機として広く知られているのが、ゆうちょ銀行が2022年1月17日から硬貨の取り扱いに手数料を導入した件です。それまで無料だった硬貨の預け入れや払い出しが、枚数に応じて有料になりました。

ただし、これが始まりというわけではありません。都市銀行や地方銀行では、それ以前から窓口両替に枚数に応じた手数料を設けるところが出ていました。そして近年も、手数料を新設・改定するリリースが各行から継続的に出されています。

各行の告知に共通しているのは、その理由の説明です。現金の取り扱いにかかる事務コストを反映した水準に見直すという趣旨が明記されているケースが目立ちます。つまり「今までは無料でやっていたが、実際にはコストがかかっていた」という話なのです。

手数料の金額はここでは書きません

枚数の区切りも料金も金融機関ごとにまったく異なり、改定も頻繁に行われています。無料で扱える枚数の上限、窓口とATMでの違い、口座の有無による違いなど、条件も一様ではありません。実際に持ち込む前に、利用する金融機関の最新の案内を確認してください。

硬貨1枚を数えるコストは、1万円札1枚と同じ

ここが本質です。

1円玉を1枚受け取って、確認して、数えて、保管して、輸送する。その作業にかかる手間は、1万円札1枚に対する手間とほとんど変わりません。ところが動く金額は1万倍違います。

言い換えれば、硬貨は「金額あたりの取扱コスト」が圧倒的に高い通貨です。しかも重い。1円玉は1枚1グラムなので、1万枚で10キログラム。金額にすればわずか1万円分です。同じ1万円を紙幣1枚で運ぶのと比べて、重量も体積も桁違いになります。

この非効率さは昔から変わりません。変わったのは、そのコストを誰が負担するかという話のほうです。

手数料の裏にある3つのコスト

硬貨を受け入れる側が実際に負担しているものを分解すると、おおよそ次の3つになります。

  • ① 機械の維持コスト
    硬貨を数える機械は、金属を高速で選別・計数する精密機器です。摩耗する部品があり、定期的な保守が必要です。持ち込まれる硬貨には汚れや変形したものも混じるため、メンテナンスの頻度は紙幣を扱う機械より高くなりがちです。
  • ② 輸送と保管のコスト
    店舗に集まった硬貨は、最終的に物理的にどこかへ運ばれます。重量物であり、かつ現金であるため、警備を伴う輸送が必要です。金額あたりの輸送コストは、紙幣と比べものになりません。
  • ③ 人手のコスト
    窓口で受け取り、機械にかけ、差異があれば確認し、記録する。この一連の作業に人の時間が使われます。枚数が多いほど、確認にかかる時間も長くなります。

これらは以前から発生していたコストですが、かつては預金の運用益などで吸収できていました。長く続いた低金利環境のなかで、金融機関の収益構造から見た「無料で提供し続ける余地」が縮んだことが、有料化の流れを後押ししたと説明されています。

「両替手数料」と「硬貨入金手数料」は別物

包装硬貨(棒金)が並んでいるイメージ

実務で混乱しやすいのがこの2つです。

種類 どんな取引か 主な注意点
両替手数料 紙幣を硬貨に、硬貨を紙幣に、あるいは金種を替える取引 口座がないと受け付けない金融機関が多い
硬貨入金手数料 自分の口座に硬貨を預け入れる取引 窓口とATMで条件が異なることがある
金種指定払戻手数料 引き出す際に金種を指定する取引 実質的な両替とみなされ手数料対象になる場合がある

枚数の数え方にも注意が必要です。多くの金融機関では、持ち込んだ現金の枚数と、両替後の現金の枚数のうち、多いほうを基準にするという考え方を採っています。1万円札1枚を100円玉100枚に替える場合、基準になるのは100枚のほうです。

また、同一名義で1日に複数回、あるいは複数人が来店して手続きした場合に合算して判定する、という規定を置いている金融機関もあります。分割して持ち込めば回避できる、とは限りません。

事業者ができる、手数料の減らし方

店舗や施設を運営する立場では、両替は「行かないと商売にならない」業務です。そのうえで減らせる余地は、次のような点にあります。

  • 持ち込む頻度と枚数を設計する:無料で扱える枚数の上限を把握し、その範囲に収まるサイクルを組む
  • 店内で金種を循環させる:受け取った硬貨を釣銭として使い回せば、そもそも両替に行く量が減る
  • 金種ごとに整理してから持ち込む:混ざったまま持ち込むと、確認に時間がかかり、扱いも限定される
  • 釣銭準備を前倒しする:繁忙期の直前に慌てて大量両替をすると、枚数がかさんで手数料区分が跳ね上がる

2つめの「店内で循環させる」が最も効果的ですが、これを人の手でやろうとすると、閉店後に大量の硬貨を金種別に仕分けて数えるという作業が発生します。ここがボトルネックになって、結局は銀行に頼るという店舗が少なくありません。

小銭を「数える」を自前に戻す

硬貨選別機は、混ざった硬貨を投入するだけで、金種ごとに選別しながら計数し、そのまま収納する機械です。手作業では時間のかかる金種仕分けと計数が、同時に片づきます。

釣銭の準備を自前で完結できれば、両替に行く回数そのものが減ります。手数料は「支払わない」のがいちばん確実な削減方法です。

混ざった小銭を、選別しながら数えて収納する

硬貨選別機 SU-201P-H 商品イメージ
硬貨選別機 SU-201P-H
混合した6金種の硬貨を、選別・計数・収納まで一度に処理する硬貨選別機。処理速度は毎分約700枚で、閉店後の小銭仕分けにかかる時間を大きく短縮します。硬貨判別センサーが異物や不良硬貨を検知して自動的に排出するオートリジェクト機能、収納部が満杯になると自動で停止するオートストップ機能を搭載。金種ごとの枚数と金額が表示されるため、レジ締めの照合作業にもそのまま使えます。
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まとめ

金種別に整理された硬貨とコインケースのイメージ
ポイント 内容
有料化の流れ ゆうちょ銀行が2022年1月17日に硬貨取扱手数料を導入。各行でも新設・改定が続いている
根本の理由 硬貨は金額あたりの取扱コストが極端に高い。1円玉1枚も1万円札1枚も手間は同じ
3つのコスト 機械の維持/輸送と保管/人手。低金利で吸収の余地が縮んだことが有料化を後押し
用語の違い 両替手数料・硬貨入金手数料・金種指定払戻手数料はそれぞれ別の取引
枚数の数え方 両替前と両替後のうち多いほうの枚数が基準になることが多い

硬貨を数えるという仕事には、昔からコストがかかっていました。それが見えるようになったのが、この10年ほどの変化です。見えるようになったなら、減らす手段も選べます。店内で小銭を循環させる仕組みを作ることが、手数料対策の本丸です。

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