慣れ親しんだお札が刷新され、現在は少しずつ新しいお札が流通し始めています。
新札が登場してからまだ日が経っていないこともあり、中には新札についての疑問を抱えている方もたくさんいるでしょう。
そこで今回は、新札の特徴や各お札に描かれている人物などについて詳しく解説していきます。
意外と知らない豆知識もあわせて紹介しますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
新札はいつ発行された？
新札の発行は、2024年の7月3日です。
お札が生まれ変わるのは実に20年ぶりであり、デザインだけでなく、偽造防止技術も進化を遂げています。
今回は、一万円、五千円、千円ともに肖像画が変更されており、時代背景に合わせた最新技術も盛り込まれています。
新札に描かれている人物
新札に描かれている人物を見て「誰だろう？」と思った方は少なくないはずです。
以下、新千円札・新五千円札・新一万円札に描かれている人物と、その功績について詳しく見ていきましょう。
千円札
新千円札は、野口英世から北里柴三郎に変更されました。
北里柴三郎は、細菌学者として明治から大正にかけて活躍した人物です。 「近代日本医学の父」とも呼ばれている人物であり、世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功するなど、数多くの功績を残しています。
日本で最初の医学研究所を設立した人物でもあり、あの有名な黄熱病の研究者「野口英世」や、赤痢菌の発見者でもある「志賀潔」などを指導した実績もあります。
五千円札
五千円札は、樋口一葉から津田梅子に変更されました。
津田梅子は、女性の地位向上と女子教育に生涯をかけた人物です。 日本初の女子留学生として、岩倉使節団とともに渡米したことでも有名です。
現在の津田塾大学は、かつて「女子英学塾」という名で運営されており、津田梅子はその創設者でもあります。
一万円札
一万円札は、福沢諭吉から渋沢栄一に変更されました。
渋沢栄一は、日本を代表する実業家であり、生涯にわたって500もの企業設立に貢献したといわれています。 日本初の銀行「第一国立銀行」の立ち上げにもかかわった人物であり、その功績は計り知れません。
その他、現在の一橋大学など、多くの教育機関の設立にも携わっています。
札に選ばれる人物の基準とは？
新札に描かれる人物は、誰かの主観や好みではなく、財務省が設けた基準に沿って選出されています。
- ・できるだけ精密な写真が入手できること（偽造防止のため）
- ・紙幣にふさわしい品格を持った人物であること
- ・国民に広く認知され、業績が認められていること
- （参考： 財務省HP ）
ちなみに、紙幣に動物や植物、建造物ではなく「人物」が描かれているのは、偽造防止に繋がるだけでなく、人々に親近感を持ってもらいやすいからです。
新札の偽造防止技術と見分け方
新札には、最新の偽造防止技術が使われています。
以下、それぞれの特徴と見分け方について詳しく見ていきましょう。
高精細な透かし
新札には、高性能な透かし技術が採用されています。
これは従来のお札にも採用されていましたが、現在は人物だけでなく、小さなひし形の模様も浮かび上がる仕組みになっています。
「高精細すき入れ」と呼ばれる手法で描かれているひし形模様は、とても細い線で描かれているため、偽造するのはかなり難しいです。
3Dホログラム
3Dホログラムは、浮かび上がった肖像が三次元で浮かび上がり、角度によって回転する技術のことです。
一万円札と五千円札にはストライプ型、千円札にはパッチ型の3Dホログラムが導入されています。 従来よりもホログラムが高度化されているため、偽造は困難を極めます。
潜像模様
潜像模様が入っていることも、新札の大きな特徴です。これは、お札を傾けたときに浮かび上がる文字のことであり、正面からは確認できません。 表面には「10000」「5000」「1000」が浮かび上がり、裏面には「NIPPOＮ」が浮かび上がりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
額面数字の拡大
従来のお札に比べて、新札はアラビア数字が大きくなりました。
表面は2～3倍、裏面は5倍ほど大きくなっていますので、一目で違いが分かります。
また、お札の色味は変わっていませんが、千円札の中央部分にオレンジ色のグラデーションをつけていることも特徴の1つといえるでしょう。
パールインキ
新札には、パールインキという技術が用いられています。これは、傾けることで現れるピンク色の光沢のことです。
潜像模様と同じで、正面からは確認できませんが、少し傾けると鮮やかに発光します。これは、切手などでも用いられている技術であり、偽造防止に大きく貢献してくれています。
深凹版印刷
深凸版印刷は、インクを高く盛り上げる技術のことです。表面を触るとザラザラしていて、この肌触りが「紙幣である」ことの証明となります。
この技術は非常に難易度が高く、設備の数にも限りがあります。
識別マーク
識別マークとは、その名の通り手で触るだけでどの紙幣かを判別できるようにする技術のことです。
一見すると必要性や重要性は高くないように思えますが、目の不自由な方にとっては非常に役立ちます。
かつては、
- ・一万円札→かぎ型
- ・五千円札→八角形
- ・千円札→横棒
- ・二千円→点字の「に」
となっていましたが、現在は斜線に統一されており、紙幣によって位置を変えて券種を区別できるようにしています。
お札に関する豆知識
日常生活で頻繁に使用するお札ですが、意外と知らないことが多いです。
以下、お札に関する豆知識をいくつか紹介していきます。
お札に登場した動物は？
お札には肖像画が用いられますが、よく見ると動物も登場しています。
登場した動物は、以下の通りです。
- ねずみ
- ハト
- いのしし
- ライオン
- 馬
- ツル
- にわとり
- キジ
（出所： 日本銀行HP）
また、実在する動物ではありませんが、鳳凰も複数回登場しています。
お札のサイズは？
お札のサイズは全て同じだと考えている方もいますが、それぞれでサイズが若干異なります。
- ・一万円札→縦76mm×横160mm
- ・五千円札→縦76mm×横156mm
- ・千円札→縦76mm×横150mm
縦の長さは76mmで統一されていますが、横の長さが若干違いますので、ぜひ見比べてみてください。
旧札は使えなくなるの？
新紙幣が発行されたからといって、旧札が使えなくなるわけではありません。
実際に、現在では旧札もまだまだ取引に使われていますし、今後も基本的には使用可能です。というのも、お札は日本銀行法第46条第2項によって「日本銀行が発見する銀行券は、法貨として無制限に通用する」と定められていて、法的な特別措置が取られない限りは使い続けられるのです。
現在でも昭和25年ごろに登場した千円券や、昭和18年以前に発行された一円券なども利用できます。
お札の寿命は？
お札の寿命について、日本銀行は以下のように回答しています。
- 一万円札：4～5年程度
- 五千円札・千円札：1～2年程度
中には、「なぜ五千円札と千円札だけ寿命が短いの？」という疑問を抱く方もいると思いますが、これはシンプルに使用頻度が高いからです。
まとめ
2023年の7月3日に、約20年ぶりとなる新札が登場しました。各お札に新たな人物が描かれており、デザインも一新されていることから、慣れるまでにはもう少し時間がかかるかもしれません。
そんな新札には、最新の偽造防止技術が複数採用されています。透かしによって浮かび上がる潜像模様や、斜めにすることによって見えてくる3Ｄホログラムなど、知っているようで知らない技術がふんだんに盛り込まれていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
