
アルモットくんの!「5秒」で分かるコラムの要約
硬貨をパレットに積む方法は、日本銀行のルールで細かく決まっているんだ!袋の縫目を上にする、模造紙を敷く、中央に寄せて積む、100袋ならゴムベルトで固定する。25袋・50袋・100袋それぞれに積み方の図まである。硬貨は重いから、崩れたら止められないんだよ。現金物流は力仕事でもあるんだね!
硬貨は重い通貨です。金額のわりに体積があり、重量があります。金融機関から日本銀行へ運ばれる硬貨は、袋に詰められ、パレットに積まれ、トラックで運ばれていきます。
その硬貨のパレットへの積み方が、細部まで定められていることをご存じでしょうか。何袋をどう積むか、袋の向きはどちらか、崩れないために何をするか。そこには、重量物を扱う現場の知恵が詰まっています。
通貨処理機を作っているメーカーの立場から、現金物流の裏側で守られている作法をご紹介します。
硬貨はどうやって日本銀行へ運ばれるのか
金融機関に集まった硬貨は、最終的に日本銀行の当座勘定へ入金されます。その手順は、日本銀行が定める現金の整理および施封の方法に沿って行われます。
流れはこうです。硬貨を貨種ごとに整理し、丈夫な布袋(大袋)に収める。口辺から約10cmのところを丈夫な紐で二重以上に回して結び、プラスチック封等で施封する。袋には貨種・収納金額・金融機関が特定できる表示をした布製の「表記」を、外れないようにくくりつける。
ここまでが1袋の作業です。そして袋がまとまった数になると、次はパレットへの積載という工程に移ります。
パレットへの積み方に定めがある
大袋をパレットに積む方法は、袋数ごとに積み方が示されています。25袋積み、50袋積み、100袋積み。それぞれ何段に分けてどう配置するかが、図で定められています。
使用するパレットは日本銀行が貸与します。中型と大型の2種類があり、大型パレットの重量は約30kg、中型パレットは約13kg。25袋積みと50袋積みは中型、50袋積みと100袋積みは大型、という組み合わせになります。
パレット自体が30kgある、という事実
空のパレットだけで30kg。そこに硬貨の大袋が何十袋も載ります。現金物流が扱っているのは、金額の大きさ以前に相当な重量物だということです。フォークリフトやハンドリフトを前提にした設計であることが、この数字からも分かります。
「縫目を上にする」に込められた意味
積載の注意事項のなかに、次の一文があります。
大袋は、袋の縫目が上になるように積んでください。
短い一文ですが、これは布袋の構造を踏まえた指示です。縫目は、布地のなかで最も荷重に弱い線です。そこに他の袋の重みが直接かかり続ければ、糸が切れ、袋が裂ける可能性が高まります。縫目を上に向けておけば、重みは縫目のない面で受けることになります。
加えて、表記は大袋の縫目側に付けることになっています。縫目を上にして積めば、表記も上を向く。つまり積んだ状態のまま、貨種と金額を目視で確認できるということです。ひとつの指示で、破損防止と確認のしやすさを同時に実現しています。
もうひとつ、パレットに積む際には貨幣垂れ下がり防止用の模造紙をパレットの上部に敷くことになっています。袋の底がパレットの隙間に落ち込むのを防ぐための、ごく地味な一手間です。
崩さないための三段構え
荷崩れを防ぐ工夫は、段階的に組まれています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 積み方 | 袋数ごとに定められた配置で積む。段ごとに向きを変える積み方も示されている |
| ② 重心 | 荷崩れ防止のため、極力パレットの中央に寄せて積む |
| ③ 固定 | 100袋積みを行う場合は、ゴムベルト等により荷崩れ防止措置を講じる |
注目したいのは③の条件です。100袋積みのときだけ、追加の固定が明示的に求められています。 段数が増えれば重心が高くなり、輸送中の揺れで崩れやすくなる。段数と固定手段を対応させるという発想は、物流全般に応用できる考え方です。
現金は、崩れたときの被害が特殊です。袋が破れて硬貨が散らばれば、拾い集めるだけでなく、枚数が合っているかを一から確認し直すことになります。金額の証明がやり直しになるのです。だからこそ、崩れないことに手間をかける価値があります。
網をかけ、封をする
積み終わったパレットには、包装網が被せられます。A型とB型の2種類があり、それぞれ固定の方法が異なります。
A型は、パレット上面と最下段の大袋との間で締め紐を締め上げ、固定具で留めます。その固定具の通し穴に、表記付きの施封用プラスチック紐を通して封をするか、鉛玉付きの施封用ワイヤーを通して鉛封を施し、そこにプラスチック紐を掛けて固定します。B型は、バックル付きベルトで締め上げ、ベルトを施封用プラスチック紐で締め上げて施封します。
プラスチック紐は市販のプラスチック製施封具に表記を組み合わせたもので、表記には布製等の丈夫なものを使うこととされています。ここでも布が選ばれているのは、輸送中に擦れても破れないためでしょう。
鉛封という古い技術が残っている
ワイヤーに鉛の玉を通し、圧着して封をする。この方式は、封印の歴史のなかでは古典に属します。切断しなければ外せず、圧着の跡は複製が難しい。プラスチック封印具が普及した現在も選択肢として残っているのは、確実さが証明されている技術だからだと考えられます。
さらに、包装網の内側には表記集計票が収容されます。何が何袋積まれているかを示す票で、責任者印を押す欄があります。票に押印する責任者と、施封用紐の表記に押印する責任者は同一人とすることも定められています。誰が封をしたのかを一意に特定できるようにするための規定です。
重量物としての硬貨に向き合う
ここまでは金融機関と日本銀行の間の話でした。しかし規模が違うだけで、店舗や施設でも同じ問題が起きています。硬貨は重く、袋は破れ、運べば腰にくる。
まず効くのは、袋そのものを適切なものにすることです。薄い袋で運べば、破れる前提で気を遣い続けることになります。
重さに耐える、硬貨専用の布袋
- 硬貨袋(大)
- ビニロン帆布製の硬貨専用袋。5円・10円・50円・100円なら各4,000枚、1円は5,000枚、500円は2,000枚を収容できます。角のある硬貨を大量に入れても裂けにくい生地と縫製で、繰り返しの使用に耐えるスタンダードモデルです。口を絞って紐で結べる構造なので、封かん具による施封の手順にもそのまま乗せられます。
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運ぶ道具を変えると、腰が守れる
- 台車・折りたたみコンテナ
- 硬貨の入った袋を何度も持ち上げる作業は、身体への負担が大きく、落下による事故のリスクもあります。台車やコンテナを使って「持たずに運ぶ」工程に変えるだけで、作業の安全性が大きく変わります。使わないときに畳めるタイプなら、バックヤードのスペースも圧迫しません。
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まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 積載の単位 | 25袋積み・50袋積み・100袋積み。それぞれ段の組み方が図で定められている |
| パレットの重量 | 大型パレットは約30kg、中型パレットは約13kg |
| 袋の向き | 縫目を上にして積む。破損防止と、表記の視認性を同時に満たす |
| 荷崩れ対策 | 定められた積み方/中央に寄せる/100袋積みはゴムベルト等で固定 |
| 封印 | 包装網をかけ、施封用プラスチック紐または鉛封で施封。責任者は同一人 |
お金を運ぶという仕事は、突き詰めれば重いものを安全に運ぶという仕事です。縫目を上にする、中央に寄せる、模造紙を敷く。ひとつひとつは地味な指示ですが、その積み重ねが「途中で何も起きなかった」という結果を作っています。
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