
アルモットくんの!「5秒」で分かるコラムの要約
赤丸券は、損券のなかでもテープ貼りや破れなど損傷が特に激しい紙幣のこと!銀行が日本銀行にお金を持ち込むとき、普通の券とは分けて整理して、束の帯の左端に赤い丸印を付けるんだ。だから赤丸券。混ぜてしまうと機械が止まったり、鑑査の手間が増えたりするから、最初から分けるのがルールだよ。
銀行の現場には、外からはまず聞こえてこない言葉がいくつもあります。赤丸券もそのひとつです。
字面から想像しにくいこの言葉は、紙幣の状態を表す分類です。しかも「赤い丸を付けるから赤丸券」という、名前の由来がそのまま作業手順になっているという珍しい用語でもあります。
通貨処理機を作っているメーカーの立場から、この言葉が指すもの、なぜ分ける必要があるのか、そして私たちが手元で破れたお札を扱うときの注意点までをご説明します。
赤丸券とは何か
赤丸券とは、損券のうち、テープ貼りや破れなど損傷が特に激しい紙幣を指す言葉です。
前提として、流通している紙幣には状態による区分があります。そのまま再び流通させられるもの、傷みが進んで流通に適さなくなったもの。後者が損券です。そして損券のなかでも、特に状態が悪いものが赤丸券として別に扱われます。
| 区分 | 状態の目安 |
|---|---|
| 通常の券 | 汚れや折れはあっても、再び流通させられる状態 |
| 損券 | 傷みや汚れが進み、流通に適さないと判断される状態 |
| 赤丸券 | テープ貼りや破れなど、損傷が特に激しい状態 |
日常生活で「使えるかどうか」の一線しか意識しないのに対し、現金を扱う現場では状態がもう一段細かく分かれている、ということです。
名前の由来は、そのまま作業手順
金融機関が日本銀行の当座勘定へ現金を入金するとき、紙幣の整理と施封の方法が定められています。そのなかに、赤丸券の扱いが書かれています。
紙幣は100枚ずつ小帯で施封して「把」を作り、それをまとめて大帯で締めて束にします。整理は券種別・様式別に行い、そのうえで赤丸券は他と分別して整理します。
赤丸券の束に付ける印
赤丸券の束については、表面のよこ帯の左端(小帯が施封されている側)に、赤字で丸印等の表示を行います。丸印以外の表示にする場合は、あらかじめ持ち込み先にその方法を連絡しておくこととされています。
損券の束についても、同じくよこ帯左端に、赤丸券とは異なる適宜の表示を行います。
帯に赤い丸を付けるから、赤丸券。用語の由来がこれ以上ないほど直接的です。
注目したいのは、表示の位置まで指定されている点です。よこ帯の左端、それも小帯が施封されている側。束を一定の向きで並べたとき、印がすべて同じ位置に来る。だから見落としません。目立たせることではなく、決まった場所を見れば分かる状態を作ることが目的なのです。
なぜ分けなければならないのか
状態の悪い紙幣を分ける理由は、通貨処理機を作る側から見ると非常にはっきりしています。
- ① 機械が止まる
テープで補修された紙幣は、その部分だけ厚みが変わります。破れた端は搬送中に引っかかります。高速で紙幣を送る機械にとって、これは紙詰まりの直接的な原因です。1枚のために処理全体が止まります。 - ② 読み取りが不安定になる
紙幣の識別は、光の透過や反射、磁気の分布などを読み取って行われます。テープが貼られていれば光の通り方が変わり、印刷がかすれていれば磁気や赤外線のパターンが薄くなる。判定が揺らぎます。 - ③ 後工程の手間が増える
状態の悪い券が混ざっていると、そのつど止めて取り除き、また流し直すことになります。最初から分けておけば、それぞれに適した速度と手順で処理できます。
つまり分別は、受け取る側の作業効率を守るための約束事です。混ぜて持ち込めば、結局そこで誰かが手を止めて仕分けることになります。
破れたお札を貼り合わせるときの注意
ここは店舗や個人にも関係する話です。紙幣が破れてしまったとき、多くの人はテープで貼り合わせます。そのとき、使うテープの種類が問題になります。
日本銀行の定めには、取引先が破損した銀行券を貼り合わせる場合について、極力、紙テープ等の粘着性の弱いテープを使用するようにという記載があります。
粘着力の強いテープは、後から剥がすときに紙幣そのものを傷めます。図柄が持っていかれれば、鑑査での判断がさらに難しくなる。厚手のテープであれば、機械を通したときの引っかかりも大きくなります。
よかれと思って丈夫なテープでしっかり補修すると、かえって状態を悪くしてしまう。 これは覚えておいて損のない知識です。応急的に留めるなら、粘着の弱い紙テープを最小限に。そして早めに金融機関の窓口へ持ち込むのが確実です。
赤丸券のその後
分別されて日本銀行に持ち込まれた紙幣は、1枚ずつ機械にかけられ、鑑査と呼ばれる検査を受けます。真券かどうか、枚数が合っているか、再び流通させるのに適した状態かどうかが確認されます。
状態が悪く再流通に適さないと判断された紙幣は、復元できない大きさに裁断され、廃棄されます。赤丸券として分けられた紙幣は、まず間違いなくこの道をたどります。
裁断された紙幣の裁断屑は、住宅用の建材や固形燃料、トイレットペーパーなどにリサイクルされているほか、一般廃棄物として処理される分もあるとされています。
なお、手元で損傷してしまった紙幣は、日本銀行の本支店の窓口で引き換えを受け付けています。残っている面積に応じて全額または半額として扱われる基準があるので、破れたからといって捨ててしまう前に確認する価値があります。詳しくは関連コラムをご覧ください。
傷んだ紙幣を、店舗の現場でどう扱うか
金融機関ほどの規模でなくとも、店舗や施設のレジには状態の悪い紙幣が必ず集まってきます。折り目の深いもの、角の欠けたもの、テープで補修されたもの。
こうした紙幣は、手で数えるときに貼りついて2枚まとめてめくってしまう原因になり、機械で数えるときには止まる原因になります。数え間違いは、たいてい傷んだ紙幣のところで発生します。
日々の締め作業で状態の悪い券を見つけたら、その場で分けておくこと。これは規模を問わず有効な習慣です。両替や入金の際に手間が減り、差異の発生も抑えられます。
数え間違いと金種の混入を、機械が同時に止める
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まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 赤丸券とは | 損券のうち、テープ貼りや破れなど損傷が特に激しい紙幣 |
| 名前の由来 | 束のよこ帯左端に赤字で丸印を付けることから |
| 表示の位置 | 小帯が施封されている側の左端。並べたとき同じ位置に印が来るため見落とさない |
| 分ける理由 | 機械が止まる/読み取りが不安定になる/後工程の手間が増える |
| 補修のコツ | 貼り合わせるなら粘着性の弱い紙テープ等を使う。強力なテープは状態を悪化させる |
赤丸券という言葉を知っている人は、ほとんどが現金を扱う仕事をしている人です。裏を返せば、この分類は現場の作業を守るためだけに存在しています。傷んだ札を見つけたら分けておく。たったそれだけのことが、どこかの工程で誰かの時間を守っています。
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